海賊巧妙化 厳戒アデン湾 海自派遣部隊、活動公開(産経新聞)

 アフリカ・ソマリア沖で海賊対処にあたる海上自衛隊の派遣部隊は護衛・警戒活動をこのほど、日本人記者団に公開した。警戒監視のスキを突いて出没し、巧妙化する海賊。欧州からスエズ運河を通り、紅海を経てインド洋へと抜ける海上交通路(シーレーン)は、一瞬たりとも気の抜けない海域だった。(ジブチ 大谷次郎)

 ■“空の番人”定着

 副操縦士「10時方向!」

 操縦士「あれか…」

 副操縦士「その後ろ、11時方向にも」

 機上整備員「ダウ船のようです」

 海賊船を空から監視する哨戒機P−3Cのコックピットは、拠点とするジブチ空港を飛び立った直後から緊迫した。操縦士の佐々木博行1等海尉は一気に高度を下げ、機体を大きく左に旋回させた。

 長さ20メートルほどの木造のダウ船には15人もの男たちが乗っていた。ただ、海賊船の特徴である大型商船に乗り移るためのハシゴは見あたらない。速度、針路などの情報も集められた。海賊船ならば、速やかに付近を航行している船舶に注意を促す必要がある。一秒を争う作業だ。

 漁船−。機長の大坪敏文1等海尉は断定した。しかし安堵(あんど)している暇はない。P−3Cは高度を上げ、再び監視態勢に入った。

 海自P−3Cによる海賊船の警戒監視は、派遣されて以降、126回(飛行時間約980時間)に達している。

 「何か情報はありますか?」。上空にP−3Cを確認した洋上の他国艦艇から無線が入る。短いやり取りで情報交換する。P−3Cはアデン湾の“空の番人”として、すっかり定着していた。

 ■漁船に紛れ武装

 離陸して約2時間。眼下に広がるアデン湾に、ジブチ港を出港した海自護衛艦「はまぎり」(艦長・斎藤貴2等海佐、海自大湊基地)の姿がみえた。約12ノットの速度で東北東に針路をとっている。

 後ろを追いかけるようにタンカーなどの大型商船が7隻。約1マイル(約1・8キロメートル)間隔を保ったまま2列縦隊で進む。最後尾には護衛艦「たかなみ」(艦長・沢口和彦2等海佐、横須賀基地)がいた。護衛艦は、アデン湾を通る商船に船団を組んでもらい、前後を挟む形で護衛している。

 アデン湾は年間約2万隻の船舶が行き交う。日本関係船舶はそのうち約1割に達する。この海域で平成20年から海賊が横行し、年間111件もの海賊被害が発生。昨年(10月現在)は169件にのぼった。最近は機関銃やロケット砲などで武装するケースも目立つ。漁船に紛れて、気配を消す巧妙さもある。

 「一瞬でもスキを見せたら、襲われてしまう。護衛対象船に海賊は指1本触れさせない」。水上部隊を束ねる第4護衛隊司令、中畑康樹1等海佐は出港前、こう語っていた。

 ■他海軍へ存在感

 海賊は昨年後半から、アデン湾だけでなく、ソマリアの東側沖合にまで活動エリアを拡大させ始めた。「ソマリア沿岸から1000マイル以上離れた海域で海賊事件が起きている」(中畑1佐)ため、各国海軍の監視も手薄になりがちだ。

 また、海自護衛艦による護衛船団は1度に3〜4隻だったものが、昨年7月以降は平均で約9隻に増加。1度に16隻を護衛することもあり、任務の難しさは増している。

 「貴艦が護衛中の船団周辺に不審船の情報はない。引き続き互いに情報交換を密にしましょう」

 P−3Cは船団の上空を大きく2〜3度、旋回すると再び高度を上げた。小さくなっていく護衛艦からは「護衛任務の完遂に全力を尽くします。こちらも小型船舶などの情報はなし」と返信。空のP−3C。海の護衛艦。各国艦隊の中で、その存在はますます重要になっている。

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